ナムラブログ

古典占星術とか世相とかについて思ったまま書き綴る南村悠介の雑記ブログ

理美容業界に営業自粛を命じるのは「やり過ぎ」。

 私が最も心配していた首都封鎖、つまりロックダウンだけは免れたようです。東京都知事はよほどこれをやってみたかったようですが、政府はよくぞ踏みとどまってくれたと思います。

 

 そして昨日、緊急事態宣言が発せられたあたりから、どの業種に営業自粛を出すかで都と政府が揉めに揉めているようです。その天王山ともいうべき業種が理美容業界です。

 

 私もまた今日から自宅引きこもりの生活を始めたわけですが、朝起きて、とりあえずテレビをつけ、そしてワイドショーをいくつか見てみてみました。するとどの番組でも話題となっているのは理美容業界をどうするか、という問題です。そして多くの番組では「議論している場合ではない、とっとと理美容業界にも営業自粛を要求せよ」という声の大合唱です。

 

 番組のコメンテーターの中には「今、様子見を決め込んで理美容業界への営業自粛要請を躊躇するのはガダルカナルの失敗と同じである。戦力は一気に投入してこそ効果がある。戦力の逐次投入は失敗を招く」などと発言している人もいました。

 

 こうしたマスコミの論調に私はある種の恐怖感を感じます。なぜならアノ戦争を煽ったのは他でもない、新聞社など当時のマスコミだったからです。つまり、いざとなったら国民の自由などどうでもよい、日本の未来を考えるなら、国民一人一人の自由を奪って何が悪い、という考えなのですね。
 普段は戦争反対を唱えながら、いざ有事となったら豹変して「いけいけドンドン」になる、というのが残念ながらこの国のマスコミの正体です。これは昔から変わっていません。

 

 しかし、死よりも恐ろしいこと、それは自由を奪われることではないでしょうか。

 実際、今現在、東京都の理美容店から感染者が出たという報告はありません。そもそも理容師、美容師とも人をキレイにする職業です。どの業界の人よりも衛生には気を付けている人たちばかりです。

 それをなぜ、営業自粛の対象にしたがるのでしょうか。東京で髪を切れなくなれば、東京都民の中にはわざわざ髪を切りに近隣の県に出向いてゆく人もいるでしょう。そうなれば、逆に感染拡大を引き起こすことになりかねません。

 

 そもそも考え方の根っこにロックダウンという思想があるために、東京都民に何か苦しい思いをさせないと気が済まないのでしょうか。Lockdownというのはそもそも「監禁」という意味です。あの都知事は東京都民1400万人を自分の権力で監禁してみたいという欲求を抑えきれないのでしょうか。

 

 ともあれ、理美容業界には自粛をさせたくない、という政府は今のところよくやっている、と思います。いろいろ失政はあるけれども、「アノ時代に戻してはいけない」という基本思想だけは貫いているようです。

 

 各国が日本の緊急事態宣言の発動が遅すぎると非難しています。また、なぜロックダウンをしないのかと非難してきます。しかし、この国にはこの国に住む人しか味わったことのない辛い歴史がある、ということを忘れてはいけません。

 繰り返してはいけないのは「ガダルカナルの失敗」ではなく、国家総動員法のような考え方なのだと思います。

 確かにこの期に及んで国内旅行をしている不届き者はいるようです。しかし、緊急事態宣言ひとつで渋谷や六本木から人影が大幅になくなってしまう日本人の国民性にもう少し期待してはどうでしょうか。