ナムラブログ

古典占星術とか世相とかについて思ったまま書き綴る南村悠介の雑記ブログ

混じり合う気質

 

まずは対立軸で4つの気質を考える

 

 

四大気質を考える場合、まず対立しあう気質をX軸とY軸に分けて考えるのがコツだと前の記事に書きました。

 

本当は「熱・冷・寒・湿」という基本性質や惑星の配当についても書いた方がいいかもしれません。

でも、ここでは省略して、私が付けた各気質のキャッチフレーズだけを書いておきます。

(もっと詳しくはこちらの本をご覧ください)

 

 

まず、多血質と憂鬱質が相反する性質のペアでした。

・多血質(空気)・・・楽天的だが、いいかげん

・憂鬱質(土)・・・・・ネガティブだが、きまじめ

 

もう1つの対立しあうペアは胆汁質と粘液質でした。

・胆汁質(火)・・・意志は強いが、せっかち

・粘液質(水)・・・温厚だが、だらだらしがち

 

ここでもう一度、前々回にご紹介したゲーテの気質表をご覧いただきます。

f:id:namurax:20210916082251j:plain

最初に多血質と憂鬱質との関係を見てみましょう。

この2つのタイプは小学校でいえば、学級委員に選出されがちなタイプです。

 

まず新学年の1学期、「まあ最初は手堅く行こうや」ということで、大人しいけれど皆に模範を示してくれそうな憂鬱質の子供が学級委員に選出される。

 

そしてクラスが打ち解けてきた2学期、今度は秋の運動会に備えて元気がよく、スポーツもそこそこできる多血質の子が選出される。

 

(3学期は短いので学級委員もテキトーに選出される)

 

こういうふうに、多血質と憂鬱質はあえて言うなら「平時の人間界のバランスを取る組み合わせ」とも言えそうです。

 

 

次に胆汁質と粘液質の関係を考えてみます。

これは昔(日本なら戦前)で言えば、武官と文官の違いに似ています。

 

もちろん胆汁質は武官です。

「議論するより、手っ取り早く腕尽くで結果を出そうよ」と考えるタイプ。

 

対する粘液質は文官です。

ゲーテの表の粘液質のところに書かれている3つの人物像をご覧ください。

共通点があると思いませんか?

そうですね、言葉を使う人たちだと言うことです。

演説者然り、教師然り、そして歴史家は人類の過去から現在までを言葉で記録しようとします。

 

ついでに隣の多血質に目を転じると、いちばん粘液質よりに詩人が来ていますよね。

これも「多血質+言葉」というふうに解釈できます。

 

西洋の諺に「ペンは剣よりナントカだ」というのがあったと思います。

その剣に該当するのが胆汁質で、ペンに該当するのが粘液質だと考えればいいでしょう

 

ところでこの粘液質というのは「水」ですが、水は水でも急流ではありません。

ゆっくり流れる水、あるいは「しみこむ水」と言った方が近い。

だから人の心にしみこむ「言葉」は時に剣の力以上に人を動かす。

そういうものなのでしょう。

 

また、歴史はしばしば滔々たる河の流れにたとえられます。

だからNHK大河ドラマ

ということで粘液質は歴史にも関係するというわけです。

 

 

もう1つ書いておきます。

先の多血質と憂鬱質の軸を私は「平時の人間界のバランスを取る組み合わせ」だと書きました。

これに対し、胆汁質と粘液質には別の印象があります。

この2つは「腕尽くか、言葉によってか」という違いはあるものの、相手に影響を与えることで現状を変えようとする意志を感じさせる気質です。

 

よって4つの気質を2つの軸で考える場合、

多血質&憂鬱質は平和維持の軸

胆汁質&粘液質は時代変革の軸

という分け方もできそうです。

 

 

 

隣の気質との混じり合いを考える

 

 

ここでやっと今日のメインテーマである「隣の気質との混じり合い」に入れます。

気質の混じり合いというのは文字通り「隣接する気質どうしの間で起こる現象」です。

 

どの気質もそうですが、「その気質だけ100%」という人はあまりいません。

左右いずれかの気質と多少なりとも混じり合っているのが普通です。

 

その配合比率は人それぞれ。

だからこそ、そこに個性が生まれます。

 

 

 

ここからはいくつか例を出して説明したいと思います。

まず最初に私の例です。

 

私の出生図ではアセンダントが双子座です。

双子座をドミサイルとする惑星は水星ですので、リリーの説に従って憂鬱質と考える。

 

実際、私は文字通り憂鬱質の人間で、何かと物事の法則を見つけたがる性癖があります。

しかしたぶん、憂鬱質のど真ん中ではない。

私は言葉にこだわる方だし、また語学や歴史も大好きなので、粘液質よりであることは確かです。

 

よって、憂鬱質と言っても粘液質寄りの「哲学者」と言ったところでしょう。

事実、私は10代の頃から西洋哲学かぶれしていました。

 

そして粘液質側に入ると、そこは教師となっています。

私は若い頃に一時期、学習塾の講師をやっていたことがあります。

今にして思えば、自分にぴったりの仕事だったと思っています。

だから日頃は哲学者っぽいけど、時にはちゃんと働かなくっちゃということで教える仕事っぽいことをする。

ここらへん、私の生き方に当てはまっています。

 

 

次にウィリアム・リリーを考えてみましょう。

彼の出生図のアセンダント魚座

魚座をドミサイルとする惑星は木星なので、彼は多血質だった可能性があります。

 

実際、CAを読んでいて感じるのですが、リリーってけっこう大ざっぱな性格ですよね。

細かいルールに従うより、とにかくシンプルなルールが大好き。

このあたり、絶対に憂鬱質とは違う点です。

(ちなみにCA第3部にリリーらしさがない、と私が感じるのもこの点です)

 

また、未亡人をくどいて財産をせしめるなんて、いかにも多血質らしい世渡りのうまさ、そして調子のよさです。

 

しかし彼もまた多血質のど真ん中とは思えません。

彼のチャート作成手順を読むと、

多少テキトーでいいからチャートは早く作れ!

時間をかけて丁寧に作ったって、精度に差なんて出てこないから!

というのが彼の考え方。

この辺、少々胆汁質が混じっていそうです。

 

また、年取ってから占星術師をやめて医者を志すなんて、ずいぶん冒険家ですよね。

だから彼はおそらく基本的には多血質の「人生を楽しむ人」、それでいて少しばかり胆汁質よりだったため、「冒険家っぽい」側面も持っていたのではないでしょうか。

 

 

もう1人、気になる人物について書いてみたいと思います。

その人物とはその昔、いわゆる山岳ベース事件で仲間を総括という名目で次々とリンチ殺人し、死刑判決を受けた永田洋子です。

 

この事件が起きたのは私が小学生の頃でした。

その事件に続いて起こった浅間山荘事件もまた私の記憶に鮮明に残っています。

(テレビにかじりついて山荘の壁を壊す巨大な鉄球を見ていた世代)

 

それで私は占星術に興味を持ち始めた頃、永田洋子の出生図を見てみたいと思っていました。

でも、生年月日はわかるものの、出生時刻と生まれた場所が不明。

 

「さて、どうしたものか?」と困っていたところ、永田が獄中で書いたという手記の存在を知りました。

その時、私は「これで出生図が作れそうだ」と直感的に思いました。

なぜなら人って自分の半生記を書く際、たいがい皆、「どこでいつ頃生まれた」といったことをくどくど書くからです。

 

そこで図書館に行き、彼女の獄中手記を調べてみました。

すると果たして私が思った通り、その手記の冒頭は彼女の出生時についての記述。

調べたのがだいぶん昔なので詳細は忘れましたが、だいたいどこらへんで生まれたかはすぐにわかりました。

 

また、出生時に近くでアメリカの爆撃機による空襲があったらしい、ということも書いてありました。

そこで戦時中のアメリカ軍の空襲記録を調べてみると、その日の爆撃時刻から出生時刻もほぼ特定できました。

こういうふうに徹底的に調べてしまうところが憂鬱質と粘液質が混じっている人間の特徴みたいです。

 

ともあれ、この調査から永田洋子アセンダント蠍座でほぼ間違いなかろうと私は思いました。

実はこの他にも蠍座だと考える根拠があったのですが、私の直感的なものも入っているので説明は省きます。

 

ともあれアセンダント蠍座ということは、それをドミサイルとする惑星は火星。

だから胆汁質ということになります。

そして連合赤軍という、一応は原理主義的な革命思想を持っていた集団だったことを考えると、この永田の場合、かなり憂鬱質寄りの胆汁質だったと思われます。

したがってゲーテの気質表にある「暴君」という人物像は当たっているのではないでしょうか。

 

 

さて、気質の混じり合いというのは決して固定したものではありません。

その時々のシチュエーションや気分によっても配合比率は変化します。

だからそのつど、「自分の頭で考える」ということが必要になります。

 

また、人は案外、自分自身の気質がわかっていないものです。

若い頃はいろんな自分にトライするため、自分が多血質なのか憂鬱質なのかさえ理解できなかったりします。

でも、トシを取るにつれ、人の気質、そして性格というものはしだいに本来の自分に集約されていくような気がします。

これは私自身の実感です。

もし20代、30代の人で、気質なんて当たっていない、と感じるなら、そういうこともあるのだ、ということを思い出してください。

 

 

次回は混じり合わない気質、つまり真向かいの気質との関係について書きます。

人間を立体的に理解するにはむしろこちらの方が大切だったりします。