ナムラブログ

古典占星術とか世相とかについて思ったまま書き綴る南村悠介の雑記ブログ

古典占星術で人間心理の二重性を見通したい

前回の記事で私は

「占うのは飽きてきたよ」

みたいなことを書きました。

 

しかし厳密に言えば、これは

「未来を占うことは飽きた」

という話です。

占いのもう1つの効用として、(自分も含め)その人間の真実を知るということにはまだまだ興味が尽きません。

 

いや、それこそ、前回、私が述べた「宇宙の法則」の中の大きなテーマだとも思っています。

 

 

占いと言えば昔は王様が政治がらみで未来を知るために利用したと考えられます。

時代が下り、一般庶民が自分たちの私生活の未来予測に利用するようになりました。

『クリスチャン・アストロロジー』やその信奉者であるオリビアバークレーなどはお天気まで占星術で占っています。

当然、この時代になると国の未来を占星術で占うという需要は減って来たと思われます。

 

こうして占いが利用される分野というのは時代とともに変化しているということですね。

 

では今、占い、特に占星術に求められているのは何かというと、それは

「今、ここにある人間の悩み」

ではないかと思うのです。

 

人によってはそれを心理占星術と呼んだりします。

古典占星術家の中には毛嫌いする人もいそうです。

しかし私は今の時代、古典占星術が人間の心理を扱うようになるのは当然だと思っています。

 

もともと古典占星術の中にも人の心理や性格を占うノウハウが組み込まれています。

だからそれをそのまま現代の需要に応えるべく移行させることは十分可能です。

 

そして、たとえば普段は善人のように振る舞っている人の裏の姿を暴いたり、逆にデクノボウ呼ばわりされている人の本来の素晴らしい素質を見抜いたり・・・といったことができるのではないかと思います。

 

今後、古典占星術にもこうした人間が持つ二重性、裏と表の姿を解き明かすという需要が増えるのではないでしょうか。

 

人の性格に限らず、「裏」と「表」というのはぴったり重なり合っていて、なかなか「はがす」ことができないものです。

それをキレイにはがして各々の真の姿を発見するのにホロスコープは役に立ちます。

 

 

ちなみに英語で

duplicity(ドゥプリシティ-)

と言えば

「性格の中に裏表があって不誠実なこと」

を表します。

「二枚舌」

と訳す人もいます。

 

この単語の中にある「du-」というのは数字の2(two)という意味です。

 

「二重奏」のデュエット(duet)の「du-」、

「決闘」の意味のデュエル(duel)の「du-」

も同じ語源です。

 

また「ダブル」(double)の「dou-」も同じ語源です。

 

 

一方、「-plicity」とはコンプレックス(complex)の「-plex」と同じ語源で

「重ね合わせてギュッと1つにする」

みたいな意味です。

誰の心の中にもコンプレックスが堆積していますもんね。

 

 

ゆえに、2つのものがぴったり折り重なっている状態を

duplicity(ドゥプリシティ-)

と表現するわけです。

これが人間の二重性を表す言葉となりました。

 

 

ついでに書いておくと、トライアングル(triangle)という楽器がありますよね。

三角形のやつ。

この綴りの中の「tri-」は数字の3(three)を意味します。

 

そこでduplicityの「du-」をこの「tri-」に置き換えると

triplicity

となります。

 

どこかで聞いたような…。

 

そうですね、

占星術で使う「トリ・プリシティー」です。

これは「三枚重ね」もしくは「3点セット」という意味です。

 

占星術では12個のサインを火、土、空気、水の4種類のグループに分類します。

だから各グループにはサインが3つずつ入ることになります。

 

ゆえに同じグループに入る3つのサインをまとめて

「トリ・プリシティー」(3点セット)

と呼ぶのです。

 

たとえば「火のトリ・プリシティー」と言えば牡羊座、獅子座、射手座の3つです。

 

 

そして、各トリ・プリシティーにはそれぞれロードとなる惑星が設定されています。

これが文献によって2つずつだったり、3つずつだったりするのですが・・・。

 

ここらへんはまた別に学習しておく必要がありますね。

 

 

さらについでに宣伝しておくと、拙著『クリスチャン・アストロロジー第1部だけでも熟読してみませんか?』では占星術用語を時に語源レベルまでさかのぼって解説しています。

その方が本来の意味を理解しやすいと思ったからです。

たとえば上のトリ・プリシティーなら、下巻第18章の訳注12で詳しく解説しています。

よろしければ、ぜひ読んでみてください。