ナムラブログ

古典占星術とか世相とかについて思ったまま書き綴る南村悠介の雑記ブログ

古典占星術の本を英語で読むと言ったって…

 現在、英語で読める古典占星術の「古典的名著」はたくさん出版されています。しかし「英語で読める」とは言っても、それらの原書の多くはもともとアラビア語ヘブライ語ラテン語などで書かれたものです。そして、ここに古典占星術をめぐる深い問題があるように思います。

 

 たとえばグイド・ボナッティの『リベル・アストロノミアエ』のように著者自身がラテン語で書いたものは「ラテン語→英語」というように翻訳過程が1回あるだけです。
 しかし、原書がたとえばアラビア語で書かれた本の場合はどうでしょうか。確かに「アラビア語→英語」というように翻訳過程が1回だけの本もありますが、「アラビア語ラテン語→英語」というように、いったんラテン語を経由した上で英訳された本もけっこう多いのです。(その理由についてはいつか述べたいと思います)

 

 だいたい翻訳書というのは(私が言うのもナンですが)「きっと誤訳があるだろう」くらいの認識をしておいた方が間違いありません。「ラテン語→英語」というように翻訳過程が1回の場合も誤訳は避けられないと思いますが、「アラビア語ラテン語→英語」のように翻訳過程が複数回に及ぶと誤訳はさらに増えるはずです。

 

 そうなってくると、この記事の最初に述べた「英語で読める」というのも案外いいかげんなものだということに気づいていただけるでしょう。アマゾンで「英語で読める」古典占星術の「古典的名著」を注文したはよいが、その本の中に一体どれだけの誤訳がひそんでいるかなんて、わかったものじゃありません。こう考えると、ちょっとコワいですね。

 

 だから「古典占星術の本を英語で読んだぞ」と言って自慢しても、多くの場合、それはただ単に「古典占星術の本の英訳本を読んだ」に過ぎません。そして、その本の中にはきっと誤訳があるだろうということも一応は念頭に置いておくべきなのです。

 

 ところがここに1つ、誤訳の心配をする必要のない本があります。

 それが“Christian Astrology”です。

 書名をカタカナではなく英語で書いたのは「翻訳されたものではなく、英語のままの“Christian Astrology”」という意味を強調したかったからです。

 

 そもそも著者が英語で書いた古典占星術の本で、古典的名著として何百年も読み続けられる本というのはあまり多くありません。その中で一番体系的に書かれているのは『Christian Astrology』です。

 ただ、この本には誤訳のかわりに誤字や脱字、そして組版上のミスがたくさんあります。それを正しく読み解いていくには推理小説を読み進めるような頭の使い方が必要です。

 

 さて、私はこの度、この『Christian Astrology』の第1部だけを翻訳したのですが、それには理由があります。それもまたいつか述べるとして、第2部以降に関してはやはり英語で読んだ方がいいのではないかと思っています。なぜならこの本は原書が英書で書かれている、ほとんど唯一と言ってもよい「古典占星術の古典的名著」だからです。

 ただ、いきなり読んでも難しすぎるので、まず基礎固めとして訳注、解説の豊富な私の本はかなり役に立つのではないでしょうか。(あれっ、ちょっと詭弁っぽいですか…)

 

以上、今日は自分の本の宣伝でした。

 

 

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